【「相互扶助」を理念とする国連NGO のAMDA、菅波代表との出会い】

菅波代表と 小児科医12年目、2006年の秋、第38回日本小児感染症学会が高知で開催されました。この学会は、小児科医の中でも感染症を専門とする医師が多く参加する学会で、私の所属する高知大学医学部小児思春期医学教室の研究テーマも多くは、小児感染症に関するものでしたので、教授である脇口宏先生が会頭に選出されていたわけです。高知での開催ですから、我々医局員は、主催者として学会を企画、運営する側という事でした。この学会の特別講演に脇口教授が招聘していたのが、岡山に本部を置く国際医療NGOアムダ代表の菅波茂先生でした。以前から、私は、自分の心の中に、国際小児保健医療(特にアジアやアフリカなどの医療)への関心があることが分かっていましたが、小児科医となって以来、自分の知識や腕を磨いて、目の前の「子どもの命に携わる」ことに専念していてきました。ですから、アムダの菅波代表が特別講演をされる事を聞いて小躍りするような気持ちになったのです。そして、この学会期間中に脇口教授にお願いして、菅波代表を紹介していただき、2日間出来るだけお話しさせていただく機会を持たせていただきました。
 この時初めて知ったのですが、実は、この菅波代表とわれらのボスである脇口宏教授は、岡山大学医学部学生時代の同級生、しかも、邦楽部の部長と副部長で、一緒にアジアの国々を歴訪してアムダの源流を共に作ったという間柄でした。この菅波代表との出会いも正に、人と人との繋がりが生んだ出会いであったのです。先代教授の倉繁先生が私を小児科医へと導いてくださったように、図らずも、脇口教授が、アムダや国際小児医療との繋がりに導いてくださったように思える、私にとっては運命的な出来事でした。それ以来、菅波代表やアムダと懇意にさせていただき、短期間ながらネパールの小児医療に関わる経験をさせていただき、大学での忙しい小児医療の合間に、興味のある医師、看護師を中心にアムダ高知クラブを設立して、少しでも、何か出来ることはないかという思いでアムダの活動を支援してきました。そして、2009年には、岡山大学に次いで、全国の大学で2番目に高知大学医学部と国際医療NGOアムダが協力協定を結ぶことができ、今後も高知大学と国際医療NGOアムダとの更なる繋がりが期待されています。
 世界には、この地球上には、1億2千万人の日本国民を含めて約70億人の人々が、様々な自然環境の中で暮らしています。そして、1割の先進国と言われる人々を除く9割の人々の暮らしは、戦禍や貧困などで、現代日本に暮らす我々からは想像もつかない過酷なものです。人間の命に違いはないはずなのに、生まれる国や人種によって、生活や医療の格差はすさまじいものがあります。その戦禍、貧困、格差の多くは、日本を含む先進国の経済至上主義が生み出した結果、もっと言うと、日本に暮らす一人一人の生活によって生み出されていることは広く認識されていないようです。元々、私自身が、世界の地理や人々に興味を持っているのは、知らない人や文化や自然に触れてみたい、感じてみたい、体験してみたいという気持ちが強いからです。しかし、そこで暮らす人々のことを知れば知るほど、日本での自分達の経済至上主義の大量生産大量消費の生活と密接に関連していることが分かります。ですから、たとえ自分が微力であっても、自分に出来ることをする事で、世界を変えられると思っています。そんな気持ちで、生きている限り、世界中の人達と関わりを持って、特に小児医療において協力していきたいと思っています。